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2008年1月4日

偉大なる建築家「ミマール・シナン」のお話

お砂糖は脳の「エネルギー源」とうことで、
毎月一回頭脳明晰で、後世に名を残した人物にスポットを当てています。

今日は、400年後の人々に貴重な手紙を残した
偉大なる建築家「ミマール・シナン」をピックアップします。

ミマール・シナンは、オスマントルコ帝国のスルタン(君主)のために、
莫大な数の建築物を造った人物です。
かの、フランク・ロイド・ライトが歴史上もっとも尊敬した建築家といわれています。

が、おそらく、シナンの名を知る人はそう多くはいないと思います。
ここで、彼が残した逸話の中で最も印象的なものを一つ紹介しましょう。

1990年代、イスタンブールで、16世紀に建造されたある
モスクの修復プロジェクトが立ち上げられました。
このプロジェクトで最も困難なのは、もろくなってしまった石のアーチを
どのように修復するかでした。チームは、作業にとりかかり、アーチを
支えている重要な石であるキーストーンをはずそうとしたその時に
彼らは、驚くものを発見したのです。

それは、何枚かの用紙が入ったガラス管でした。

その用紙こそ、ミマール・シナンが400年前に書いた手紙だったんですね。
手紙には、「我々が建造したこの建物の石は400年が寿命で、
あなた方は、アーチを作り直そうとするだろう。
でも、おそらく、建築技術が進み、あなた方は、石のアーチを
作り直す経験を持っていないでしょうから、
この手紙にその方法を書きます。」というような内容で、
ちゃんと、図面を工法の資料も添えられていました。

400年という石の寿命を見事言い当てているばかりか
400年後に建物を直してくれる人に対して、その方法を
手ほどきまでしてくれているんです。

でも、どうして、彼はこんな手紙を残したんでしょうか?
おそらく、このモスクを心から愛していたからではないでしょうか?
彼は、建築家として、偉大なる建築物に対する尊敬を常にもっている人でした。

その証拠に、エジプトのピラミッドを彼は、破壊しませんでした。
というのは、オスマントルコが、エジプトのカイロを占拠した際に、
シナンはカイロにおける建築部門のリーダーにまで昇進していて、
彼には、オスマントルコ帝国の都市計画に合致しない建物を
すべて取り壊すという権利が与えられていたんです。
けれども、彼は、カイロのピラミッドを壊さず、そのかわり、
ピラミッドの構造システムをくまなく勉強し
世界初のピラミッドの修復者となりました。

シナンは、その生涯を通じて、大・小合わせて、なんと、
477もの建築物を設計したといわれています。
その彼の最高傑作といいますと、セミリエ・モスクなんだそうです。
彼の自伝書でも語られているこのセミリエ・モスクは、
トルコのブルガリアとの国境に近い街、エディルネに今も佇んでいます。
モスクが完成した時、この建物の持つバランスと優雅さは、
人々に奇跡とまで評されたそうです。

では、また来週。


  
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