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2006年10月20日

マリー・ローランサンのお話

スイートハートボックス、この番組では、「砂糖は脳のエネルギー源」ということで
毎月一回、頭脳明晰で後世に名を残した人物にスポットを当てています。

今月は、10月31日生まれの女流画家「マリー・ローランサン」をピックアップします。

フランスが生んだパステルカラーと幻想的画風で
一世を風靡した画家、マリー・ローランサン。
彼女の作品だけを集めた世界で唯一の美術館が、長野県にあります。
ローランサン生誕100年を記念して建てられた美術館で
それほどまでに、日本でのローランサン人気は高いものなんですね。

ローランサンは1885年生まれ。
彼女と同じ年に生まれ、同じくフランスで活躍した女性といえば
「ココ・シャネル」をおいてないでしょう。

ローランサンが描いた「ココ・シャネルの肖像」は、
淡いブルーを基調とした作品で、ココシャネルが
少し憂いを帯びた表情で椅子に腰掛けている、そんな絵です。

はかなげではありますが、美しいその肖像画をローランサンが
シャネルに渡そうとして受け取りを拒否された
というエピソードはとても有名です。

でも、そのお陰で、ローランサンが画商に売り渡し
今日、私たちが目にすることが出来るというのは、幸運だったかもしれません。

マリー・ローランサンは、今から120年前、日本の年号でいうと明治16年生まれ
夢見がちな少女時代ののちに、画家を志すようになり、
当時の先進的な芸術家グループの一員になります。

彼らの溜まり場だったアトリエ兼用の古いアパートで、
ピカソや、詩人アポリネールらとの伝説的な青春時代を送るうちに
「淡い色調と、簡潔なフォルムによる、憂いをたたえた詩的な女性像」という
独自の画風を作り上げました。

マリー・ローランサンと詩人ギョーム・アポリネールの恋は、よく語られる話ですが
二人の恋愛は6年で終わり、その後彼女は人気画家として花開き
一方、アポリネールは別れを悲しみ、かの有名な「ミラボー橋」の詩を作り
悲嘆にくれたと言います。

結局、彼は亡くなるまでローランサンのことを忘れられず
それから5年後、スペイン風邪のため38歳の若さで亡くなっています。
その枕元には、ローランサンが描いた名作「アポリネールと友人達」が
架けられていたそうです。

アポリネールは、日本ではローランサンほど知られていませんが、
彼の詩の中で私のお気に入りのものがあるんです。

「ねこ」というタイトルの詩なんですが

僕は持ちたい 家の中に
理解ある妻と
本のあいだを歩き回る猫と
それなしには どの季節にも生きてゆけない友だちと

短くって何気ない詩ですが、きっと寂しがりで
心の優しい人だったのではないでしょうか。

アポリネールと別れてから数年後、ローランサンはドイツ人貴族と結婚しますが
新婚旅行中に戦争が始まり、旅先のスペインに亡命します。
そして、戦後離婚して、単身パリに戻ってから画風を大きく変えるんですね。
憂いを消し去り、繊細さと華やかさと官能性を併せ持つ、
夢の世界の幸せな少女像を生み出したのです。

この頃から、ローランサンに肖像画を注文する事が、
上流婦人の流行となっていったんです。

また、ローランサンは、舞台装置や衣装デザインでも成功を収めました。
そして、彼女は晩年も静かな老いの中で、自らが信じる
美しいものを描き続けたんですね。

おまけのお話ですが、長野県にあるマリー・ローランサン美術館は、
とても瀟洒な建物で、お土産の紅茶がとてもおいしいそうですよ。

ココ・シャネルの肖像は、パリ・オランジュリー美術館所蔵ですが
マリー・ローランサン美術館でも絵葉書が買えるようなので
もし、立ち寄る機会があったら、ご覧になって下さいね。

では、また来週。


  
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