今日は、お菓子にも使われ、最近注目を集めている
食べられる薔薇、エディブルフラワーのお話です。

先日タイに旅行してきた友達が、薔薇を形取った深紅の石鹸と
バナナチップスをお土産にくれました。

タイのバナナチップスは、ほんのり甘く、あっさりしていて
日本のかりんとうにちょっと似た感じがしました。
カリカリ囓（かじ）っているとつい癖になって
次々とつまんでしまうので、毎日3枚づつと決めています。

そして、もうひとつのお土産の薔薇の石鹸なんですが
ほんのりと薔薇の香りがして、とても素敵なんですね。

薔薇の香りは、エレガントな気持ちにさせてくれるので
どちらかというと女性的なイメージがありますが
古代ローマでは、薔薇の花びらをワイングラスに浮かべて
香りをつけて飲むといった事が、ダンディズムにあふれた
贅沢とされていたようです。
薔薇の花びらを浮かべたワインが似合う男性がいたら
それはまさに王子さまのような方なんでしょうね。

さすがに、ワインに薔薇とはいかないまでも
特別な日のお料理にエディブルフラワーで艶（あで）やかさを
加えるというもは、素敵なアイデアです。

エディブルフラワーというのは、食用の花という意味ですが
真っ白なお皿に、お料理を盛りつけて
回りに、赤、黄、青といった色とりどりの
エディブルフラワーを散らせば
いつもの手料理もパーティ用に早変わりします。

エディブルフラワーは、種類も豊富で
例えば薔薇以外にも、カーネーションやパンジー、コスモスや
デイジーなど食べられる花というのは意外と多いんですね。
その中でも薔薇は高級感があり、華やかさも加わって
人気の高いエディブルフラワーです。

薔薇をつかったお料理やお菓子は世界中にありますが、
特に薔薇が国の花、国花であるイギリスでは
ティータイムに薔薇はかかせないようです。
ローズティーや、薔薇の花びらのサンドイッチなど
貴婦人を思わせる演出がちょっとしたティータイムを
優雅なものに変えています。

イギリス以外でも愛されている薔薇は、ジャムやゼリー、
ビスケットに、薔薇の実のスープなど、バリエーションも楽しめます。
この薔薇を食用に使うという習慣は、今に始まったことではありません。
古くから、薔薇が栽培されているところでは、
日常的に食用として取り入れていました。
特に古代ローマでは、薔薇はなくてはならないもので、
とにかく薔薇尽くしの日々を送っていたようです。
まさに、バラ色の人生、そのものだったんですね。

お酒や、お料理、お菓子にも薔薇をたっぷり使っていたわけなんですが、
お酒に薔薇というのは、雰囲気を楽しむだけではなく、
酔い止めとしての効果もあったようです。
薔薇は、宴の席のみならず、食事の前にも
薔薇の香りがするお風呂に入り、薔薇の香油を体に塗って
身だしなみを整えるのが習慣でした。
誰もが利用できる香水風呂は、市内に
1,000カ所以上も設けられていたということです。

そして、入念な準備を終えると、天井から薔薇の花びらの雨が
降る薔薇で埋め尽くされたサロンに出向き魅惑のひとときを過ごしたようです。
薔薇に魅せられた歴史上の人物は数多くいますが、皇帝ネロもその一人で
薔薇の香りを立ち上らせるために、クジャクの羽根に薔薇のお水、
ローズウォーターを振りかけて、そのクジャクを
飛び回らせるという趣向が凝らされたこともありました。
クジャクというのは、かなり大きいですからね。
薔薇の香りで満たされて優雅な雰囲気になったのか、
くじゃくが邪魔だったのかは分かりませんが、
薔薇が人生と切っても切り離せない花だったことは間違いがありません。

また、薔薇をこよなく愛した美女としてもっとも有名なのは
クレオパトラだと思うんですが、彼女は、花の持つパワーを知り尽くし、
その効果を最大限に利用した人でもありました。

クレオパトラには、お抱えの調香師までいたそうで、
香りに精通し、香油を使ったマッサージで体の手入れをすると共に、
精神の安定をはかっていました。シーザーをもてなした時には
、薔薇の花びらを膝の高さまで敷き詰めたといいます。
一歩一歩近づくたびに、甘い薔薇の香りが広間いっぱいに立ち上るのですから、
こんな歓迎をされた男性が彼女の虜になるのも無理はありませんよね。

それでは、また来週！