「砂糖は脳のエネルギー源」ということで、毎月一回頭脳明晰
知恵と気力で、偉大な功績を残した人物にスポットを当てています。

今日は、坪田佳代子骨折記念？として前人未踏峰のアタックに成功
下山途中で骨折したものの、奇跡の生還を果たした男
「ジョー・シンプソン」をピックアップします。

もしも、番組をお聞きの方の中に骨折経験がある方がいらしたら
このジョー・シンプソンを描いた映画「運命を分けたザイル」をぜひご覧下さい。
もう、涙が出るほど感動し、また勇気づけられる作品なんです。

「運命を分けたザイル」は実話をもとにドキュメンタリー形式で
映画化され、数々の国際映画賞を受賞した作品です。
どのようなお話かというと、時は1985年、
野心溢れる若き英国人登山家のジョーとサイモンが
ペルーの最難関シラウ・グランデ峰の前人未踏の
西壁の登攀（とうはん）に挑むというものです。

登攀というのは、山などによじ登る事をいうのですが
まさに身をよじり、全神経を集中してのアタックなんです。

だ～れも、登った事がない山ではなく、誰もアタックに成功したものがいない山！
アルプスは何度も登ったというジョーも、あまりの難しさに
途中この挑戦を悔やんだほどの壁なんです！

いやぁ～、良く生きて帰って来られました。
まさに、奇跡以外の何物でもありません。
なにしろ、難関で山での骨折はすなわち死を意味するのですから。

しかし、下山の時に骨折してしまったジョーをサイモンは置いて行かず
ザイル（ロープのような命綱）を結んで長くして、
一気にジョーをおろす事にしたんです。

ザイルがのびきったところで、体重を抜き、それが合図で
サイモンは降りてくる段取りだったんですが
いつまでたってもジョーからの合図がないんです。

1時間以上待ってもジョーからの合図がなく
身を切る思いでサイモンは、ジョーの命綱ザイルを
ナイフで切ってしまいます。
実は、その時ジョーは、宙ぶらりんの形になってしまい
体重を抜くことが出来なくなってしまっていたんですね。

サイモンはその後ベースキャンプにたどり着く事が出来るんですが
ジョーを死なせてしまった罪悪感にさいなまれます。

しかし、ジョーは生きていたんですね。

ジョーの何がすごいのかというと、絶対に諦めないとことです。
そのやり方というのが、20分であの岩まで行く。
時間内に行ければ大喜びし、行けなければむちゃくちゃになるほど悔しがる。
そう自分に課して、近い目標をとにかくクリアして行くことで
生き延びた人なんですね！このシーンは、本当にすごい！！

ベースキャンプまで、はいずり回りながらたどり着くことが出来たのも
もしも、サイモンがもうすでにキャンプを離れていたとしても
とにかくキャンプのそばまで行ってから死のう・・、
そう思ったからなんだそうです。

サイモンが街まで下山せずにキャンプに残っていたお陰で
無事ジョーはサイモンに発見され、九死に一生を得たのです。

ジョーがサイモンに助けられ最初に言った言葉は
「ありがとう。僕が君の立場でもザイルを切っていた。あれで良かったんだよ」
というものだったそうです。

ジョーはその後二年で六回の手術を受け、今も山に登り続けています。
山登りが楽しくて楽しくて仕方がない。
そうジョーは語っているんですよね。

そんなに楽しいものなのでしょうか・・・。
この気持ち、マロリーのような人なら分かるんでしょうね。
そう、「何故山に登るのか？」と聞かれ、「そこに山があるからだ」と答えた
イギリスの登山家、ジョージ・マロリー。
こういう人は世の中に結構いるのかもしれません。

ところで、「運命を分けたザイル」にはジョーとサイモン本人たちが
語り部として出演しているんですが
ジョーの明朗な表情に比べ、サイモンは悲痛な面持ちに見えたのですが、
やはり苦労が多かったのでしょう。

サイモンは英国登山界から激しいバッシングを受けることになるんですが
ジョーは、彼を擁護し続けたそうです。

ハリウッドのエンターテイメント映画なら、ザイルは仲間を助けるため
下になった人が自らの意志で切る事が多いんですが
これは、いかにもヒーローものという感じがします。

実話である「運命を分けたザイル」のジョーもサイモンも
完全無欠のヒーローではないけれど、こちらの方が人間らしくて
人間くさくて、心惹かれます。

それでは、また来週！