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6月24日の特集テーマは
「ワンダフルきのこワールド」
最新のキノコ情報をお届けしました!
あなたにとっての“F”って何ですか?
Freshな情報とFavoriteな楽しいアレコレ。そしてFine Music!
毎週金曜日9:00〜17:30 の8時間半の生放送でお送りします。
TODAY’S THEME
2022/06/24 放送
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6月24日の特集テーマは
「ワンダフルきのこワールド」
最新のキノコ情報をお届けしました!
国立科学博物館・植物研究部・主幹
保坂健太郎さんにお話をうかがいました。
?世界中に存在するキノコ?
私たちが知っているキノコは、全体の1割にしか満たないそう。
名前が付けられず、存在を気付かれていないキノコの方が、はるかに多いそうなんです!
完璧な図鑑はなく、どの図鑑にも載っていないキノコがまだまだあるそうで、
自分の採ったキノコの見た目が、図鑑に載っているキノコに似ていたとしても、
それが既存の種とは限らないんだそうです。
実は採ったキノコが新種!という可能性もあるそうなんですね〜。
これまで様々な国を調査研究で訪れている保坂先生、
先生が見た中でも、特に変わったキノコが多いのは、
ニュージーランドとニューカレドニア。
特にニューカレドニアでのキノコが印象的で、
ターコイズブルーのガムのように見えたものが、実はキノコだったとか!
それは、一晩でドロドロに溶ける「ヒトヨダケ」の一種だったそうです。
ちなみに、「ヒトヨダケ」は日本にも生息していて、
古い畳などに生えて、一晩で真っ黒に溶けてしまうキノコとのこと。
酵素を出して溶かすことによって、胞子をまとまった状態で増やしているとか。
一晩でドロドロに!という状況も、なかなかすごいものがありますね〜。
?トリュフも個性派!?
本来きのこは上に伸びて風で胞子を上に飛ばすそうですが、
その胞子を飛ばして増えることを諦めて、温度湿度が安定している土の下にもぐった、
というのがトリュフなんだそう。
自分にニオイを付けて小動物に見付けてもらい、
食べてもらう→フンの中で胞子が作られことで増える、という流れだそうです。
胞子の増やし方もキノコそれぞれで個性があるんですね〜!
?キノコの今後?
現在、世界中でキノコは2万種ほど確認されており、
確認されていない種を含めると10万種いると言われています。
どんどん新種を発表してはいますが、1000年かかったとしても、
全てのキノコに名前を付けることは難しいと言われているそうです。
キノコの数は環境の変化によって常に変化し続けており、森が減るとキノコも減ります。
新たに名前を付けられる数より、人間の影響によって絶滅する種の方が多いかもしれません。
誰かに発見される前に、知らない間に絶滅している種もあるんじゃないか、とのことでした。
死んでしまった動植物を分解して土に還すのは菌の役割で、
倒木の成分「リグニン」を分解できるのは、一部のキノコだけなんだそうです。
このキノコが絶滅したら、地球上は倒木だらけになってしまうんじゃないか、とのことでした。
キノコに感謝ですね!
私たちが普段目にしているキノコは、
リンゴで例えると実の部分で、本体は地中に埋まっているんだそうです。
リンゴで例えると、枝葉や木の幹は土に埋まっている、というような状態ですね。
キノコの本体は「菌糸」と呼ばれ、髪の毛よりも細く透明なので、目には見えないのですが、
可視可できるとしたら、地面の下は菌糸だらけ!!のはずですね。
そんな世界をイメージしてみるのも、ロマンがあって楽しいかもしれませんね。
保坂さんは、これからも精力的に研究活動を続ける予定で、
将来は、いつか、南極大陸に行ってキノコを採取するのが夢だそうです。
南極大陸にまでキノコが!どんなキノコがあるのか、とても興味深いですね〜!
保坂先生、奥深いキノコのお話をありがとうございました!
<保坂健太郎さんプロフィール>
国立科学博物館 植物研究部 菌類・藻類研究グループ研究員。
アメリカ・オレゴン州立大学植物・ 植物病理学科博士課程修了。
日本および世界各地から菌類を採集し、その進化系統や多様性などを研究。
子供向けの絵本や図鑑の監修も。
?(株)土屋鞄製造所 ?
経営戦略室 マネージャー井手 高歩さんにお話しを伺いました!
?土屋鞄製造所(つちやかばんせいぞうしょ)とは??
1965年創業、ランドセルづくりからスタートした会社。
「時を超えて愛される価値をつくる」をミッションに、
ランドセル、大人向けの鞄や革小物の企画・製造・販 売・修理までを一貫して行っています。
?マッシュルームレザーとは??
キノコの菌糸体からつくられた、レザー代替素材のこと。
きのこのかさの部分ではなく、根のような糸状の組織体からできている。
菌糸体をおがくずなどのマルチング材を与えることによって育て、
レザーのように なめし、シート状に仕上げている
・柔らかさ&上質な質感
・必要な材料は水と空気とマルチング材のみ
・100%再生可能なエネルギーで稼働する、最先端の垂直農法施設で生育
・2週間弱で育つ
?マッシュルームレザーを取り入れようと思ったきっかけは??
1価値観が多様化する現代において、お客さまに新たな素材を提供し、
より多くの選択肢を提案するた め。
2日本の職人技を長年培ってきた土屋鞄だからこそ、
ものづくり力の高さ(クラフトの精度やプロトタイピ ング(試作品の検証)速度、
作り手からのダイレクトなフィードバック)を通じて
Myloという新しい素材の発 展に貢献することができると考えたため。
✂️どのようにして制作している?✂︎
アメリカのバイオテック企業「ボルト・スレッズ」社との業務提携で制作
4年前からマッシュルームレザーを研究しているボルト・スレッズ社から
レザー代替素材「Mylo」の素材提供を受け、
土屋鞄でもトップクラスの職人が製品開発に取り組んでいる。
牛革と似て非なる素材なの で、同じ製造工程では制作が難しく、
Myloの最適な工程を探っている。
?現在「Mylo」を採用した開発中の製品が展示中?
土屋鞄製造所 渋谷店にて6月30日(木)まで期間限定展示
*「ハンディLファスナー」の年内発売を目指す。
(現時点ですべての製品の具体的な発売時期は未定)
土屋鞄製造所 井手さんありがとうございました。
北海道立総合研究機構(道総研)・林産試験場・微生物グループの原田陽さん
原田さんは、キノコ研究に携わって28年、旭川市にある林産試験場でお仕事をされていて、
今年「日本キノコ学会技術賞」を受賞するなど、精力的に研究開発をされています。
?北海道ではどんなキノコが生産されているの??
北海道の主要キノコの生産量は、17,136トン(令和2年)で、全国の約4%(全国4位)。
生シイタケ生産量は、全国2位。タモギタケは、1位!
◉タモギタケ
タモギタケって、あまり店頭では見ませんよね。
でも、実は、タモギタケは、北海道が生産量全国1位!
独特の風味があり、出汁のよく出るキノコなんだそうです。
店頭で見ることは少ないのですが、加工品としてよく使われるキノコとのこと。
その他、北海道のキノコの種類として・・・
シイタケ、えのきたけ、なめこ、舞茸、ぶなしめじ、エリンギ、キクラゲなどありますが、
中でも特徴的なのは、先ほどのタモギタケと、それから・・・
◉エゾユキノシタ
エノキタケの野生型。
お店でよく見る白いエノキタケと違って、茶色、傘の成長を促す栽培法が主流。
ぬめりが強く、食感に特徴あり。
◉マッシュルーム
最近需要が高まり、生産量が増えているキノコ。
地域で発生する馬糞堆肥を活用。SDGsの優等生。
ほかにも、一般にはあまり知られていない北海道のキノコがあります!
◉ムキタケ
黄金色の傘とツルリとした食感、歯ごたえが特徴。
◉トキイロヒラタケ
朱鷺色で料理に彩りを添える。健康成分エルゴチオネインが多いことも特徴。
※エルゴチオネイン:抗酸化作用を持つアミノ酸の一種。アンチエイジングに。
◉マッシュルーム
これから増えそうなキノコ。うま味や甘味が濃厚で食感も特徴。
マッシュルームは洋食のイメージがありますが、
実は和食(味噌汁など)にも合うそうで、レシピの提案により需要を拡大しているそうです。
特に、ムキタケ、トキイロヒラタケは、品種改良は進めているものの、
スーパーなどで見るまでには、まだ時間がかかりそう。
旭川近郊の直売所や道の駅などでは購入できることもあるそうなので、
見つけた方は、ぜひ手に取ってみてくださいね。
キノコは、野菜や果物のように産地間差が出にくいとされていますが、
実はお米のように、産地や生産者ごとにオリジナルの栽培ノウハウがあるそうなんです。
?研究者ならではの、おすすめの食べ方?
乾燥シイタケを戻す場合、15℃以下で、できれば冷蔵庫に入れるのがおすすめです。
(一晩水に浸ける。朝に浸水して夕方使うのでもOK。)
そうすることで、うま味や甘味に関係する「アミノ酸」が増え、
さらには、健康機能性アミノ酸「GABA(血圧を抑える効果・リラックス効果)」
も増えるそうなんです。
その後、加熱により、うま味成分のグアニル酸も増える、とのことでした。
シイタケの出汁をカツオ節やコンブなどの出汁と合わせると、
カツオなどの出汁に含まれるグルタミン酸やイノシン酸と、
シイタケの出汁に含まれる上記成分をブレンドすることで、
味の相乗効果が生まれるため、美味しくなるんだそうです。
また、シイタケには、トマトに多く含まれるグルタミン酸をGABAに変換する酵素があります。
そのため、シイタケを水ではなく、トマトジュースで戻して(一晩)?
パスタソース、ミネストローネ、リゾット等に使うのもおすすめなんだそうです!
※この際、トマトジュースは、サラサラタイプの方が適しています。
?実は北海道もマツタケの産地?
本州はアカマツ林ですが、北海道はトドマツ林、アカエゾ林等で樹木の根でつながって、
マツタケが生育するんだそうです。
マツタケの生える樹木の周辺には「シロ」という菌糸塊の領域があり、
それが、マツタケの収穫量と関係があるんですね。
このシロを増やしてマツタケ山を作ろうと、試験場でも、道内のフィールド調査研究中とのこと。
実は、夏は、キノコの消費が少し落ちる時期なんだそうです。
でも、これからは夏本番!焼肉には、ジューシーな肉厚焼きシイタケがおススメです!
北海道立総合研究機構では、キノコ生産者、食品メーカー等、異業種間の連携が大事と考え、
キノコの消費を増やすための取組みを進めています。
?例えば、マイタケ酵素で肉質を軟らかくした「鹿肉ジンギスカン」?
(株式会社郊楽苑ホールディングス(釧路市))なども!
?「鹿肉ジンギスカン」について詳しくはこちら?
道産キノコを栽培したい、加工食品を作りたいというご要望・ご相談をお待ちしています!
とのことでした〜。
原田さん、ありがとうございました!
?参考資料?
下記リンクよりぜひご覧ください!