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[過去の放送]

2012年3月25日

エゾエンゴサク

今週のキーワードは<エゾエンゴサク>。
札幌近郊では野幌森林公園や定山渓周辺にも大群生地が。
鮮やかな青紫色などの小さく可憐な花が早春の大地を彩ります。
お話を「北海道大学大学院 地球環境科学研究院 准教授 工藤 岳さん」にうかがいました。
工藤 岳さん
ケシの仲間・ケマンソウ科の多年草で、主な生息地が北海道。
落葉広葉樹林の特に湿った場所を好み、雪が多いところに沢山見られます。
中国の漢方薬の名前「延胡索」がそのまま和名になったもので、薬にもよく配合されています。
地上に姿を見せているのは春先からわずか2ヶ月くらい。
雪解けから2週間位で花が咲き始め、花の時期は約2週間。
その後2週間程で種が熟し、以降は葉も枯れてしまいます。
春先は木々に葉がないため、林床は陽射しが十分に入り、急速に成長し光合成を行い、地下に栄養を蓄えます。
初夏、木々の葉が茂る頃にはもう1年間の活動を終え地上部は枯れ、後は土の中で休眠状態に。このようなタイプの植物を「スプリング・エフェメラル」(ephemeral=つかの間の・短命)と言うそう。
フクジュソウやカタクリ等もそうです。
収録中風景
エゾエンゴサクは他の個体から花粉をもらって受粉する植物。この為、変異が多く、ひとつの群生地の中でも、花の色も葉の形も様々なものがあります。
また、繁殖にはアリやマルハナバチが一役かっています。
種にはゼリーのような物質が付いていて、それがアリを引き寄せるのだそう。種を巣穴に運び、ゼリーだけを食べ、他は周りに捨てる事で分布域を広げられるのです。
又、 花は筒形で長く、蜜を求めてやって来るマルハナバチの舌では届きません。
そこでハチは花弁に穴を空け、舌を刺し込み吸う「盗蜜行動」を。
一見、エンゴサクは被害を受けているようですが、花の上を歩き回り行なうその行動によって大事な花粉が運ばれています。
つまり開花の時期とマルハナバチの冬眠から覚める時期がピッタリ合うことで、お互いの生命を守り続けてきたと言います。
工藤先生は、このような植物と昆虫の相互作用について等を研究されています。
「環境の変化によって、生物間の歯車の掛け違いのが起きてしまう事を心配している。」ともおっしゃっていました。 

●今週のプレゼントは“プランター”を2名の方にプレゼントします。

★番組の感想をそえて、3月31日(土)までに応募してください。
プランター
○来週のキーワードは「北大植物園」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約20分。
ヨーロッパでは園芸用に改良されているものもあるとのこと。しかし、短い期間しか姿を見せてくれず、その可憐な姿には日本人の琴線にふれるものなんでしょうね。ちょっと、桜の花と似ているかもしれませんね。今年は4月初めには野幌森林公園に行ってみようかな。

2012年3月18日

勝山館

今週は、上ノ国町にある「北の中世」を伝える重要な史跡<勝山館>がテーマでした。
お話をうかがったのは「上ノ国町教育委員会事務局 文化財グループ 学芸員 塚田直哉さん」です。
塚田直哉さん
北海道南西部・渡島半島・日本海側~北に江差、南は松前に挟まれた上ノ国町。ここは、最も早く本州からやって来た和人の文化が繁栄した町。
<勝山館>は、室町時代(1470年頃)に、武田信広(下北半島の豪族)らによって築かれた山城。館の主体部は、夷王山(標高159m)から連なった中腹にあり、人々が暮らしていました。
天の川や、船が往来する海・港を眼下に見ることができるような場所。
建物が建ち並び、両側には深い沢が流れ、前方後方には堀、周りは柵で囲うなど防御機能を持った「城塞都市」で、北の政治・軍事・交易の中心拠点。この地は1600年頃までひとつの町を形成していたと考えられています。
北海道では非常に珍しい館跡、勝山館は国指定の史跡です。
1979年から30年以上に渡って行なわれている発掘調査により、中国産の陶磁器や本州産の焼物、鉄製品・銅製品・木製品・石製品や骨角製品など約7万点以上の出土品。
活発な交易活動や生活・文化を知る上で欠かせない貴重な資料は、そのうちの921点が国の重要文化財に指定。
最も注目すべきことは、アイヌの人々が製作していた骨角器。ここは和人と地元のアイヌの人達とで造りあげ、共に定住していた場所なのです。
和人とアイヌ民族の関係を考えるきっかけにもなっているそうです。
収録中風景
勝山館の最盛期は1500年初め頃で、130年間で延べ人数800人から1000人くらい居たと考えられています。
お侍さんやアイヌの人々、その家族である女性や子供、鍛冶屋さん、漁師さんもいて、家のある山から漁具を海へ運びながら暮らしていたなど、出土品から様々な人達が暮らした様子が窺えます。
上ノ国町にある勝山館跡には、館跡の模型や出土品の展示などをしているガイダンス施設があり、遺跡を理解できます。

●今週のプレゼントは、お洒落な“急須”です。

★番組の感想をそえて、3月24日(土)までに応募してください。
お洒落な“急須”
○来週のキーワードは「エゾエンゴサク」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約30分。
最初に和人が住む所を作り、そこを守っていたところをさらにアイヌの方々と共に作りあげ、アイヌの方も住んでいたということが凄く重要な発見なんですって。この勝山館、お城ですから、実際に戦いもあったようです。

2012年3月11日

エゾオコジョ

今週のキーワードは<エゾオコジョ>。
オコジョ。あまり聞き慣れない名前ですが、イギリスを含むヨーロッパ中北部・アジア中北部・北米に生息するイタチの仲間です。
丸くて大きな黒目…顔がとっても愛らしく、冬は純白の冬毛に変わり、ぬいぐるみみたい!可愛らしさが際立ちます。
お話を「農学博士で、北海道野生動物研究所所長 門崎允昭さん」にうかがいました。
門崎允昭さん
北海道では通称「蝦夷イタチ」と呼ばれていたそうです。
今から110年くらい前までは全道に広く分布し、低平地の農耕地帯などでよく見ることができたそうです。
 姿・形はイタチを想像して下さい!よく似ているそうです。
エゾオコジョの成獣の大きさはオスの方がやや大きく体長約24cm。
尾の長さは体の長さの3分の1位を占め、尾の先端の毛色は1年を通して黒色。他、下顎から腹部にかけても1年を通して白色、それ以外は夏毛は茶系色、冬毛は白色です。
冬眠はせず、昼夜を問わず年中活動。
繁殖期と育児中以外は単独行動。
雑食で、野ネズミ、昆虫類や山ブドウ・コクワの実など植物も食べます。
また、岩や石の隙間や木の根の隙間を巣穴として利用しています。
エゾオコジョ
寿命は約10年とみられています。
春4月から5月に、5から8頭出産。
子育てはメスだけで行ない、新生子は生後約5週目でやっと眼が見えるようになり離乳。
そして、生後12週目頃からは自分で餌を捕り始め自立します。
春に生まれ夏にはもう単独行動です。
 そもそも北海道にイタチは生息していませんで、このエゾオコジョが広く分布していました。
しかし、毛皮目的の捕獲や、さらに体の大きい本州のイタチ、外国からはミンクが北海道に持ち込まれ野生化した事によって、エゾオコジョの生存領域が狭められてしまったのです。
現在はイタチなどが居ない、ナキウサギがいるような高地に暮らしている為、なかなか見ることができなくなってしまったのです。

●今週のプレゼントは“可愛いクッション“を2名の方に。

★番組の感想をそえて。3月17日(土)までに応募してください。
可愛いクッション
○来週のキーワードは「勝山館」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約25分。
明治時代までは身近にいたというエゾオコジョ。外来種に生態系を変えられたといえる動物ですね。私も本物は見たことがないので何とか見てみたいです。こうしてみると北海道は珍しい動物が多く、それも北方ならではで、北米やロシアと一緒ということも多いですね

2012年3月4日

垣ノ島遺跡

今週は、函館市南茅部地区にある縄文時代の遺跡<垣ノ島遺跡>がテーマでした。
お話をうかがったのは「函館市縄文文化交流センター館長 阿部千春さん」です。
阿部千春さん
函館市南茅部地区は縄文時代の遺跡が87箇所もある「縄文の里」としても知られています。
岬状に突き出した所に垣ノ島遺跡があり、岬全体がひとつの遺跡と言ってもいいくらいの大集落が存在していたそう。
中央には垣ノ島川が流れ、左岸が「垣ノ島A遺跡」 右岸は「垣ノ島B遺跡」。
国道バイパス工事に伴い、平成11年から発掘調査が開始され発見されました。特にA遺跡では大きな集落が多数見つかり、昨年、国の史跡に指定されています。
A遺跡は縄文時代早期から後期までの複合遺跡。
早期の古い段階から定住し続けていた事が分かる重要な遺跡です。
B遺跡は、今から約6500年前と、縄文早期の約9000年前の、2つの時期のものが。しかしB遺跡はまだ端の方を掘っただけ。
A遺跡と同じ位の中身の濃い遺跡が広がっているのではと今後の調査に期待されています。
館内見学中風景
特徴的な遺構・遺物として、子供の小さな足形を付けた土版17点。
鮮やかな紅色の漆塗り注口土器(約3300年前のもの)や、更に、約9000年前の世界最古の漆製品と判明されたものも発見されています。
目の前には海、背後には山、沢山の河川・・・豊かな恵まれた自然環境の中で、自然と共生しながら約1万年もの長きにわたり続いた縄文時代。垣ノ島遺跡は、まさに、ひとつの大地の中で人々がずっと途切れる事なく生きつづけてきた証なのです。
優れた技術や豊かな精神性を示すこれらの出土品は、昨年10月にオープンした「函館市縄文文化交流センター」でご覧頂けます。
北海道唯一の国宝「中空土偶」も常設展示されています。
尚、この中空土偶を含め、日本の国宝土偶3点が一堂に会し特別展示される「北の土偶展」が、3月6日(火)から、札幌市にある「北海道開拓記念館」で行なわれます。この機会に是非ご覧下さい。

●今週のプレゼントは“函館市縄文文化交流センターのミュージアムグッズ“をセットにして1名様に。

★番組の感想をそえて、3月10日(土)までに応募してください。
函館市縄文文化交流センターのミュージアムグッズ
○来週のキーワードは「エゾオコジョ」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約25分。
道南に遺跡が多く存在していますが、その中でも南茅部が特筆して多いとは知りませんでした。それだけ暮らしやすいところと言う事ですね。さらに垣ノ島B遺跡はこれから発掘を進めるという事ですから、さらなる発見があるかもしれませんね。

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知っているようで知らない「コト」や「モノ」の宝庫。まさに北海道は宝島ですね。

この番組は、毎週いろいろなキーワードについて、北海道の自然が持つ魅力や不思議をゲストの方のお話を交えながら、楽しくゆったりとお送りするプログラムです。

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