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[過去の放送]

2012年1月29日

北海道の植物の越冬戦略

今週のキーワードは<北海道の植物の越冬戦略>。
お話を「北海道大学名誉教授 藤川清三さん」にうかがいました。
藤川清三さん
乾燥・低温・凍結・・・北海道の植物にとっては、特に凍結ストレスが最も大きなストレス!
氷点下になると植物の中の死んだ組織の水分は簡単に凍るのですが、それは害にはならないそう。
問題は、水を沢山もった、生きている細胞・・・その中が凍ってしまうのが致命的。
その細胞内の水をどんどん外へ出し、脱水させ、細胞の外側を凍らせることによって大切な部分を守るのだそう。
これを「細胞外凍結」というそうです。
植物達は、生きている細胞だけを凍らせないメカニズムを発達させ冬に適応しているのです。
また、樹木の場合は別のメカニズムをもちます。
樹木は細胞壁が厚くて硬く細胞外凍結は行なわれないそう。
それでも、外が-40℃になっても細胞内の水はそのまま液体状態を保つというのです。
「過冷却」という凍らない水を作るシステムを発達させ、寒さに適応しているのだそうです。
樹木がもつ凍結に対する抵抗性の研究から、藤川先生たちは、ポリフェノール(タンニンやフラボノイドなど)が水を凍らせない物質と着目。
それらを応用し、凍らない水を作り、様々な場での活用を探っていらっしゃいます。
越冬中
例えば、医療の面で使われたり、また、今まで冷凍させていた生鮮食品にも利用でき味も良くなったり、結露防止のコーティング材料としても使え、乗り物やトンネルなどにも活用できる等々。
これは世界的にも初めてのことで、様々な分野の企業が注目しているといいます。
北海道の植物の寒さに対する高い適応能力から、多様な可能性が生み出されようとしているのです。

●今週のプレゼントは「ブランケット」を2名の方に。

★番組の感想をそえて、2月4日(土)までに応募してください。
ブランケット
○来週のキーワードは「イシカリワカサギ」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約25分。
植物、特に樹木は寒さに強くなっているそうです。もともと植物は暖かいところが好きな生き物で、それが北上するために、長い年月をかけて進化し、今のような姿になっているのですって。恐るべし。

2012年1月22日

十勝晴れ

今週のキーワードは<十勝晴れ>。
北海道で一番晴れの日が多い十勝地方・・・いつしか人々の間で「十勝晴れ」と呼ばれるようになりました。
お話をうかがったのは「北海道大学大学院地球環境科学研究院にいらっしゃり、気象予報士でもある中村一樹さん」です。
中村一樹さん
快晴の日が続く十勝の冬。
年間日照時間は2000時間を超え日本国内でもトップクラス!
日照時間、つまり太陽がしっかりと顔を出し地上を照らす時間が多く、青空に恵まれている地域なのです。
十勝の天気の特徴は、冬によく晴れ、 夏は逆に曇りの日が多いそう。
昼間の短い冬でも、夏よりも日照時間が多いというのですから、冬はかなりの確立で晴れるのです。その理由は、西の大陸に高気圧・北海道の東海上に低気圧となる西高東低の冬型の気圧配置になると、大陸のシベリア高気圧から寒気が吹き出し、冬でも暖かい日本海上では上昇気流を生じさせ雪雲となり雪を降らせますが、その雪雲は日高山脈を越えると乾燥した下降気流に変わるのだそう。ですから日高山脈の西側までは雪を降らせますが、山脈によってさえぎられ雪はそこでストップ!
十勝地方には晴れをもたらすというわけ。これが十勝晴れの正体なのです。
収録中風景
厳冬期の十勝は雪は少ないのですが、1日の降雪量が道内の観測史上1位(1970年3月、帯広で1日102cm)という記録も。
大雪になる時は、夏の大雨と同じで低気圧によってもたらされます。
北海道付近や北海道南岸を発達した低気圧が通過する時に大雪になるそう。
そして、夏、今度は山ではなく海~太平洋の影響を受けます。
十勝沖には千島列島方向からの冷たい寒流親潮が流れています。
南からの暖かい空気が寒流の上を通ると、そこで霧が発生し、霧や低い雲で夏はどんよりとした天気となるのです。
海上の霧や低い雲はそのまま風にのって十勝平野をうめ尽し溜まって、全国でもこの地域しか見られない壮大なスケールの「雲海」をも生み出します。
十勝は、日高山脈など十勝平野に代表する地形と太平洋が作り出す気象現象が、特徴的な豊かな気候を作り出しているのです。

●今週のプレゼントは、広げると晴れ模様の”傘“を2名の方に。

★番組の感想をそえて、1月28日(土)までに応募してください。
広げると晴れ模様の”傘“
○来週のキーワードは「北海道の植物の越冬戦略」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約25分。
十勝晴れはまさに今、注目の的になっていますね。ソーラー発電の拠点として実験が始まります。まさに十勝晴れがもたらす天然エネルギーとなるのでしょうか。

2012年1月15日

岩偶

今週のキーワードは<岩偶>。
縄文時代には、様々な素材を用いて人の形を製作する文化がありました。
岩偶は岩で作られたものです。
お話を「北海道埋蔵文化財センター 主任 福井淳一さん」にうかがいました。
福井淳一さん
「土偶」は、皆さんよく耳にされていると思います!
粘土で作られた人形をそう呼びますが、「岩偶」は岩石で作ったもの。
石の中でもやわらかく、加工しやすい石質の火山灰が固化した「凝灰岩」や、泥が固まった「泥岩」などを素材とし、磨いたり削ったりして成形されたものです。
岩偶は主に土偶より以前に作られ、時代も製作されていた地域も限られた特殊なもの。
縄文時代前期後半(5800年前)から中期(4600年前)と晩期(3000年前)の東北北部から北海道南西部の「円筒土器文化圏」と、南九州では後期から晩期で類型化できるものが出土しています。
昨年夏、北海道新幹線の建設工事に伴い発掘調査が行なわれている道南の福島町館崎遺跡で、約5400年前の岩偶が見つかりました。
岩偶は厚さ2~3cm程の板状のもので、やや縦長の五角形。長さ約37cm・横幅約29cmと、国内最大サイズの岩偶とみられています。
収録中風景
人の胴体のような形をしていて、上部には胸に手をあてたような折り曲げた両腕を表現する線が、また、その下にはまるで服の模様のような縦線が数本刻まれています。 
腕が表現された模様は岩偶のひとつのパターンだそうです。
縄文時代全体でいうと圧倒的に土偶の方が多く、また、岩偶自体が特殊なので、同じ遺跡から出土する例は少ないそうですが、福島町や青森の三内丸山遺跡など規模の大きな遺跡は、営まれてきた期間が長いので前半は岩偶・後半は土偶というように発見されるそうです。
道内で出土した岩偶は、昨年秋にオープンした「函館市縄文文化交流センター」や福井さんのいらっしゃる、江別市にある「北海道立埋蔵文化財センター」などで展示されています。 

●今週のプレゼントは、“ハンバーグプレート”を2名の方に。

★番組の感想をそえて、1月21日(土)までに応募してください。
ハンバーグプレート
○来週のキーワードは「十勝晴れ」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約20分。
九州でも見つかっているそうですが、原材料は軽石なのだそうです。そう考えるとより北海道や東北で見つかっているものの方がより加工が難しいものといえるのではないでしょうか。恐るべし加工技術ですね。

2012年1月8日

タキカワカイギュウ

今週のキーワードは、500万年前の生物<タキカワカイギュウ>でした。
お話をうかがったのは「滝川市美術自然史館 学芸員 茂野浩一さん」です。
茂野浩一さん
海の哺乳動物、カイギュウ(海牛)。
現在生きているカイギュウの仲間には、南の暖かい海や川に棲んでいるジュゴンやマナティーがいます。
タキカワカイギュウは彼らの先祖。
数百万年前ものカイギュウの化石が、日本国内で32ヶ所、そのうちの14ヶ所が北海道で発見されています。
タキカワカイギュウは、北海道で初めて発見されたカイギュウです。
1984年に北海道の天然記念物に指定され、学術的にも大変貴重な資料となっています。
1980年(昭和55)8月、滝川市を流れる空知川の川底から見つかりました。
背骨が連なり、肋骨も多少はかけていながらも並んだ状態。
化石はほぼ全身そろっていたといいます。
体長は約7m、ゴロンとした胴体に前方にはヒレのような短い両腕がある巨大な身体。
500万年前(新生代第三紀鮮新世)に生息した、完全に寒さに適応した種。
当時の滝川は冷たい水の遠浅の海で、彼らはコンブやワカメなどの海藻を食べて暮らしていたようです。
カイギュウには歯は無く、すり潰して飲み込む為の租借板を口の中にもっていました。
タキカワカイギュウ
その後、タキカワカイギュウは環境の変化に適応しながら少しずつ姿を変えていき、いなくなったと考えられています。
これら、タキカワカイギュウ化石の発掘・調査・研究・クリーニングにレプリカ作り、展示までの一連の作業は、全て地元で、専門家の協力を得ながら、大勢の滝川市民によって行なわれました。
化石は「滝川市美術自然史館」に保管され、等身大のレプリカが常設展示されています。
また、他の恐竜も展示されていて、太古の北海道が体験できます!

●今週のプレゼントは、“子供用の恐竜図鑑”を2名の方に。

★番組の感想をそえて、1月14日(土)までに応募してください。
子供用の恐竜図鑑
○来週のキーワードは「岩偶」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約30分。
およそ500万年前の滝川周辺は陸も広がっていたそうです。この陸地は、逆に温暖だったとのこと。これは花粉の化石がみつかり、ブナや杉の花粉がたくさんあるのですって。これらは温かい地方の植物ですものね。

2012年1月1日

北前船

明けましておめでとうございます。
今週からオープニングテーマ曲等も2012年版にリニューアル! 
今年も「ほっかいどう宝島」をよろしくお願い致します。

 今週は、お正月らしく・・・宝船を想起させる<北前船>をテーマにお送りしました。
お話をうかがったのは「北海道開拓記念館 学芸員 会田理人さん」です。
会田理人さん
北前船は、江戸時代後半から明治30年代にかけて、大阪を起点に日本海を航海し蝦夷地にやって来た船。
帆の高さが15から18m位ある1枚帆の和船で、船底から直接荷物を積める構造で、船の3分の2を荷物置場が占めていたそう。
様々な品物を積んで大阪から瀬戸内海を通り、下関、日本海を通り北海道までを往復する商船。
荷物を預けて運賃を払い運んでもらう船とは違い、商人自身が先ずド~ンと船を造らせ船主となり、ある地域で品物を買い移動し、そして、別の地域で売りさばいて利益をあげる。
つまり、船そのものが大きな総合商社で、点々と港伝いに商売をしていたというのが北前船。
「買積」商法を行なっていた船をそう呼んでいたのだそうです。
本州から北海道に入ってくる物は、衣食住にかかわる日常生活用品など。
北海道から運び出した物は、ニシン粕・身欠ニシン・コンブ・干しアワビ・干しサケ・クマ皮・シカ皮など。
最盛期は幕末から明治初期。
1回の航海で1千両(現在の価値で約1億円)から2千両稼いだといいます!
特に北海道で仕入れた商品を大阪で売った利益が大きかったのだそう。
収録中風景
経済のみならず文化交流・情報の流通に重要な役割を果たしてきた北前船。
しかし、明治に入り、電信・通信という新システムの普及により各地の情報も入手でき、近場の低価格の物を買うようになる等、地域間の格差がなくなり儲からなくなってしまった。
又、鉄道開通によって流通は陸路に移行。
一番の北海道の産物ニシンの不漁など、幾つかの理由によって百数十年つづいた北前船の時代は終わりを告げたのです。
しかし、コンブひとつを見ても北前船の伝統というものはまだまだ今も全国各地に残されています。

●今週のプレゼントは“昆布商品の詰め合わせ”を2名の方に。

★番組の感想をそえて、1月7日(土)までに応募してください。
昆布商品の詰め合わせ
○来週のキーワードは「タキカワカイギュウ」です。

<ディレクターYの編集後悔記>
今回のインタビュー約30分。
北前船というのは、船の形ではなく、そのシステムを指していたのは知りませんでした。さて、この北前船の流通の名残が富山や石川、長野に残っているそうですよ。昆布を売る店が数多く残っているのは、この北前船で運んだ昆布が、陸路を経て渡って行った事が原点だそうです。

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北海道創価学会


山口 由美
Yumi Yamaguchi

私たちの住む、ここ北海道には、まだまだ、知らない自然や文化、そして歴史の魅力が一杯あると思いませんか。

知っているようで知らない「コト」や「モノ」の宝庫。まさに北海道は宝島ですね。

この番組は、毎週いろいろなキーワードについて、北海道の自然が持つ魅力や不思議をゲストの方のお話を交えながら、楽しくゆったりとお送りするプログラムです。

さて、今週はどんな宝物に出会えるでしょうか。