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2010年3月31日

広がる看護職5

[野宮]
これまで専門看護師、それから看護師さんのスペシャリスト認定看護師さん、そしてもう1つ、先週伺ったのがNP「ナースプラクティショナー」…。
これは、もともとアメリカで生まれた簡単な初期診断やちょっとした傷を縫合するであるとか薬の処方も場合によってはできる…というのが「ナースプラクティショナー」ですが、今日本でもこうした役目が求められてきているようですが、実際にこのNPを育てているケースはあるんでしょうか?

[先生]
2008年から大分県立看護科学大学で養成がスタートしていまして、今年の3月に修了を迎え、これから活躍してくれると思います。
ただその修了を迎えた人達は慢性疾患の患者さんを診療する診療看護師というふうに聞いています。

[野宮]
教育機関側はこの「ナースプラクティショナー」NPを、医療現場ではどういう位置付けで育てていこうとしているんですか?

[先生]
現在まだ日本ではNPは認められていないので、大分県立看護科学大学の場合は、現実問題の地域医療の現場からの必要性にまず大学できちっとした知識・技術を養成して、その必要性を含めて発信していくと聞いています。

[野宮]
実際どんな勉強をされているんですか?

[先生]
専門看護師の教育課程の中でないものと言いますとフィジカルアセスメントです。
これはどういうものかと言いますと、昔内科医などがやっていた…いわゆる触診ですとか打診ですとか、そういう基本的な聴診器を使いながら五感を使っていくという方法です。
それからお薬に対する薬理学、臨床薬理学に対する知識、つまり一般的に使っているお薬、痛み止めですとか糖尿病のお薬とか高血圧の薬ですとか…、そういうものの副作用、それからどんなふうに処方していったらいいのかという事を詳しく学ぶ。
あと病体整理といいますか…、病気や症状がどんなふうに起きているのか、どんなふうに判断していったらいいのか…、そういう教育を集中的にやること。
さらにもう1つ大切なのは隣地実習ということで、実際に地域で診療されている医師のもとで初期診療、初期診断、初期治療を学ばさせていただくことが非常に重要だと思います。

[野宮]
すでに大学が看護師を育成する教育機関としてはとても今大切な存在になってきてますが、学生さんの中には最初からこのNPを目指す人が増えてきているんでしょうか?

[先生]
学生もそうですが、特に地域で働いている看護師さん達がその必要性を感じて「やってみたい」という方が私どもの北海道医療大学にも問い合わせが増えています。

[野宮]
医療大学の方でも養成は始まっているんですか?

[先生]
今年の4月から5名程養成していきたいと考えています。

[野宮]
じゃ、北海道医療大学でもいよいよNPの養成が始まるんですね。
やはりこれは地域で働いている看護師さんが医療現場の中からこういう存在が必要だと感じる大きな背景というのはどんなことがありますか?

[先生]
たとえば訪問看護をしていて、患者さんの状態が少し変わったと…、でもドクターは遠くにいるというような場合、訪問看護師は今ここで点滴していた方がいいとか、お薬を変えた方がいいとか、カテーテルを入れた方がいいとか、そういうふうに思うわけです。
でもそれはやはりドクターの指示がなければ出来ない事なんです。
そこが大きな問題だと思います。
そしてもう1つ、訪問看護師さんから聞くのは、ターミナル期(終末期)にある患者さん本人もご家族も、家で最後を迎えたいと思っても死亡診断は看護師は出来ないんです。
そのために、もう亡くなるという寸前に救急車で病院に運んで、医師の死亡診断を受けるという事になるんです。
これでは患者さんもご家族もとても悲しいですよね。
やはり訪問看護師にずっと診てもらっているので、訪問看護師が死亡診断ができれば自宅で亡くなる事ができると思います。

[野宮]
今、少子高齢化社会で、しかも地域医療がどんどん厳しくなっていく中で、なんとか医療を変えていこうと医療改革と言われていますが、いろんな性能性をもった看護師さん、それから看護師さんの役割を広げていこうというのはトップダウンの改革ではなく、むしろ現場からくるボトム
アップの改革と言えますね。

[先生]
本当に必要があってこのようになってきているんだと思います。
今回は専門看護師とか認定看護師、そしてナースプラクティショナーについてお話ししましたが、病院の中でも安全管理ですとか感染管理、それから医療連携、ケアマネージメントなど…、看護師が担っている役割がどんどんその必要性から増えています。
ですから、本当に看護職130万人いる中でいろんな力をもった看護師がいると思いますので、それぞれが地域医療に貢献すべく力を磨いてほしいと願うようになりました。

[野宮]
ナイチンゲールの時代から変わるものと変わらないもの…
大切にしているのもというのはどんなものですか?

[先生]
ナイチンゲールは本当にクリミア戦争で傷ついた傷病者のケアをしたことはありますが、でもナイチンゲールは政治的な人でもありました。
行政を動かして看護の必要性を訴えていた人で非常にリーダーシップがある人です。
でも今、まだ、なかなかナイチンゲールほど世の中を動かせるようなナースが育ってきているとは言えません。
ですからこれから出てきてほしいと思います。
やはり看護は医療の中でも患者さんに寄り添っていけるようでなければならないと思います。
本当に今患者さんが必要なものをキャッチしながら医療チーム全体を動かして、患者さんにとって良い医療を提供できるようがんばっていけるのが看護師だと思います。

[野宮]
130万人、全国の病院で看護師さんが毎日毎日大変なお仕事をされていますが、その中から日本の社会を動かすナイチンゲールが何人も何人もこの先誕生してくる…
そのためには大学の役割も大きいですね。
そう言う意味で先生も増々忙しくなりますね。

今月は看護職、その役割の広がりについて伺いました。

ありがとうございました。

  
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